脂漏性皮膚炎はカビ(マラセチア菌)が異常に繁殖してしまうことで発症する皮膚炎です。
頭皮や鼻、肩甲骨のあたりや耳の後ろなど皮脂の分泌が多い部位で発症することが多いですが、脂漏性皮膚炎が発症したときに特に大きな悩みになるのが頭皮です。
激しいかゆみやフケをともなう頭皮の脂漏性皮膚炎ですが、症状が進むと抜け毛がひどくなり、ハゲてきてしまうのがとても厄介。髪の毛や頭は人目にも触れて目立つので、とてもセンシティブな問題にまで発展してしまいます。
私自身も脂漏性皮膚炎に悩まされ、はげしいかゆみに耐えられず頭皮が硬化するまで掻きむしった結果、抜け毛がひどくなりハゲてしまいました。
このページでは、
- 「脂漏性皮膚炎の抜け毛がヤバイ…」
- 「毎日ちゃんとシャンプーしてるのに脂漏性皮膚炎でハゲてきちゃった…」
- 「抜け毛がひどくてハゲが人目に触れるのがこわい…」
など、
脂漏性皮膚炎が原因で抜け毛やハゲに悩んでいる方に、脂漏性皮膚炎の抜け毛がひどい時に自分でできる対処法、実はやってはいけなかったNG行為を解説します。
実は間違っていた対処法や生活習慣を見直して、脂漏性皮膚炎の抜け毛やハゲが悪化しないようにしていきましょう。
脂漏性皮膚炎が原因の抜け毛やハゲは、正しい対処をすれば症状が改善し、ハゲた頭皮にも毛が再び生えてきますので安心してキチンと対処してみてくださいね。
脂漏性皮膚炎って?発症の原因は?
ではまず、脂漏性皮膚炎とはどんな病気か、その原因についても解説します。
脂漏性皮膚炎は個人差がありますが、頭皮のフケがひどくなり、はげしいかゆみやかぶれをともない、過剰分泌した皮脂や頭皮トラブルにより抜け毛を併発します。
特に男性は抜け毛を併発する方が多くみられます。
原因は様々な要因が関係していると言われていますが、代表的な発症の原因はマラセチア菌という菌の異常繁殖です。
マラセチア菌は誰の頭皮にもいる常在菌で、皮脂をエサとして生きています。
皮脂が多く分泌してしまうと、それをエサとするマラセチア菌も多くなってしまうんですね。
マラセチア菌は普段は無害なのですが、増えすぎると頭皮の炎症やかゆみ・フケを引き起こします。
他にも間接的な原因として、皮脂をキチンとシャンプーで洗えていなかったり、寝不足などの生活習慣の乱れ、職場や家庭環境などによるストレス、食事なども挙げられます。
脂漏性皮膚炎と抜け毛の関係
抜け毛やハゲは、脂漏性皮膚炎が悪化してくると起こります。
これを「脂漏性脱毛症」と言います。
過剰分泌した皮脂が毛穴を詰まらせて毛根に充分な栄養が行き渡らなかったり、頭皮環境の悪化が悪化すると、髪の毛がどんどん細くなっていきます。
やがて毛根がダメージを受け、髪の毛が抜け落ちてしまうのです。
脂漏性脱毛症はベタベタの皮脂が毛穴の奥までつまり、毛穴の奥も炎症を引き起こしてしまっている状態です。
皮脂を洗い流してもまたすぐに皮脂が過剰に分泌されてしまうため、皮脂除去だけでは正しい対処とは言えず、症状は改善しません。
また、はげしいかゆみにより頭皮を掻きむしってしまったりすると、頭皮がダメージを受け炎症がさらにひどくなります。
この炎症も頭皮環境を悪化させることにつながり抜け毛の原因につながります。
脂漏性皮膚炎と脂漏性脱毛症(抜け毛)の治療
抜け毛の治療は、まず脂漏性皮膚炎を改善することから
脂漏性皮膚炎による抜け毛を治療するには、まず脂漏性皮膚炎の症状を改善し落ち着かせていく必要があります。
脂漏性脱毛症(抜け毛)まで発症している場合、脂漏性皮膚炎の悪化も考えられますので、まずは育毛よりも先に脂漏性皮膚炎の症状の改善を目指します。
医療機関を受診
脂漏性脱毛症(抜け毛)まで脂漏性皮膚炎が悪化していると、炎症がひどくなっている場合があります。
まずは医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。
おそらく増えすぎたマラセチア菌を減らすため、外用抗真菌薬を処方されます。この外用抗真菌薬を塗布していくと1〜2週間ほどでマラセチア菌が減り症状が改善していきます。
抗真菌薬配合のシャンプーを併用
医療機関を受診すると、外用抗真菌薬と一緒に抗真菌薬入りのシャンプーを勧められることも。
抗真菌薬とは、真菌の生育を阻害する医薬品で、この抗真菌薬が入っているシャンプーで髪を洗うと、マラセチア菌が増えないようにしてくれます。
ビタミン剤(ビタミンB群)が処方されることも
ビタミンBには皮脂分泌を抑える働きがあります。
頭皮の炎症がひどい場合などは、ビタミン剤が処方される場合もあります。
脂漏性皮膚炎と脂漏性脱毛症(抜け毛)の治療イメージ
では、ここまでの治療のイメージをまとめてみましょう。
脂漏性皮膚炎の脂漏性脱毛症(抜け毛)の治療イメージとしては、まず外用抗真菌薬で悪化した頭皮のマラセチア菌を減らし、抗真菌薬配合のシャンプーでマラセチア菌が増えないようにします。
そしてビタミン剤(ビタミンB)で皮脂分泌を体の中から抑えていきます。
場合によっては、ステロイドが処方されることもあります。この場合、症状に合わせて医療機関がステロイドの強さを調整してくれますので、医師の指示にしたがってください。
1点だけ注意点としては、外用抗真菌薬でマラセチア菌が正常量まで減っても、それはあくまでも一時的なものであることを忘れてはいけません。
日頃から、抗真菌薬配合シャンプーや低刺激の正しいシャンプーを使っていなかったり、ビタミン不足や生活環境の悪化などで再発の可能性があります。
医療機関でシャンプーを勧められる場合、治療の意味だけでなく、日々の頭皮ケアとして抗真菌薬配合のシャンプーが処方されています。
抜け毛がなくなるまで5週間~、ハゲが治るまで数ヶ月
個人差が大きいですが、マラセチア菌の量が正常範囲内に落ち着き、頭皮の炎症が治って頭皮環境も正常化するまでにおよそ5週間程度はかかると言われています。
頭皮環境が正常になれば、抜け毛はなくなり毛根にも栄養が行き渡るようになり、抜けてしまった髪の毛も徐々に生えてきます。
この際、早く髪の毛を生やしたいからといって、安易に育毛剤など使用しないように注意してください。脂漏性皮膚炎は慢性化しやすく、頭皮への刺激で余分に皮脂が分泌したり炎症が再発することもあります。
脂漏性皮膚炎と脂漏性脱毛症(抜け毛)の治療は、頭皮への刺激を極力少なくし、頭皮環境を正常に保つことが最善と心得ましょう。
脂漏性皮膚炎で抜け毛がひどい時にやってはいけないダメな行動7選
1、いきなり育毛剤はダメ!
毛が抜けるからといって、いきなり育毛剤やトニック剤を使うのは絶対に避けてください。
脂漏性皮膚炎による抜け毛は、まず脂漏性皮膚炎の症状を改善することが大切です。
過剰な皮脂分泌や激しいかゆみやフケをともなったまま、育毛剤やトニック剤を使うと頭皮への刺激が強すぎて炎症がひどくなったり、かゆみがひどくなってしまいます。
2、脂っこい食事を摂る
揚げ物やこってりラーメンなど脂っぽい食べ物は美味しいですよね。
しかし脂っこい物を食べると、頭皮の皮脂が多く分泌し、脂漏性皮膚炎の原因となるマラセチア菌が増殖してしまいます。
できるだけ脂っこい物を控えましょう。
3、刺激物を控える
辛いものなど、肌への刺激物は頭皮にも良くありません。
かゆみは体が温まるとでやすくなるので、汗が出て体が火照るような刺激物は控えましょう。
また、コーヒーは利尿作用で体を冷やす効果がありますが、胃が荒れて頭皮トラブルを招いたり、皮脂を分泌させる効果があるので控えましょう。
4、睡眠不足
睡眠不足は皮膚の再生を阻害するだけでなく、ストレスもたまりやすくなります。
また、疲れやすくもなりますので、充分な睡眠時間を確保することが大切です。
5、洗浄力の強いシャンプーを使う
皮脂がベタベタと分泌するからといってやりがちなのが、「皮脂サッパリ!」などとうたった洗浄力の強い市販シャンプーでゴシゴシと洗うことです。
洗浄力の強いシャンプーは余分な皮脂だけでなく、必要な皮脂までも洗い流してしまうので、その反動で頭皮はさらに皮脂を出そうとして逆に皮脂が増えてしまいます。
このような悪循環をにならないために洗浄力の強いシャンプーは使わず、弱酸性・アミノ酸系のシャンプーを使って必要な皮脂まで落とさないようにしましょう。
6、指や爪を立てて引っ掻くように洗う
爪を立てたり引っ掻くように頭皮を洗うのはNGです。
頭皮を傷つけるだけでなく刺激になってかゆみや炎症の原因になります。
シャンプーを充分に泡だてて、指の腹を使ってやさしくマッサージするように洗ってください。ゴシゴシとこするのも厳禁です。
7、シャンプー後に髪を濡れたまま放置
シャンプー後、髪を濡れたまま放置していると雑菌の繁殖に繋がってしまいます。
脂漏性皮膚炎にとっては雑菌の繁殖も乾燥もよくないため、シャンプーをした後は8〜9割程度、すぐに乾かすようにしましょう。
脂漏性皮膚炎で抜け毛がひどい時、自分でできる3つの対処法
まずは医療機関を受診することが先決ですが、自分でもできる脂漏性皮膚炎と抜け毛への対処法があります。
脂漏性皮膚炎の症状を悪化させず、抜け毛を減らせる方法をご紹介します。
1、ビタミンB群を摂る
ビタミンB群(ミルク、豚肉、レバー、ホウレンソウ、シイタケなど)をなるべく意識して摂るようにしましょう。
ビタミンB群は皮膚の代謝を改善し、ダメージの回復を早める働きをしてくれます。
皮脂の分泌を調整するビタミンB2は、納豆が好きな方なら納豆が手軽でおすすめ。
また、抗炎症作用のあるビタミンは海藻類からとることができます。
2、睡眠を充分にとる
睡眠不足になると頭皮環境は悪化します。
ホルモンバランスが崩れ、皮膚の抵抗力も低下します。
皮膚再生のゴールデンタイムといわれる22時〜2時までの間はできるだけ睡眠をとるように心がけましょう。
3、弱酸性・アミノ酸系のシャンプーや抗真菌薬配合のシャンプーを使う
市販のシャンプーは原価が安価なため、材料も安価で洗浄力が強力な石油系界面活性剤を使用したものがほとんどです。
強力な洗浄力で必要な皮脂まで落としてしまうと、余計に皮脂が分泌されてしまうので頭皮の皮脂は増え続けてしまいます。
弱酸性・アミノ酸系のシャンプーを使用すれば、頭皮への刺激は抑えられ過剰に皮脂を洗い流してしまうことがありません。
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まとめ
いかがでしたか。
脂漏性皮膚炎が原因の抜け毛は、遺伝性の脱毛症やAGAなどとは原因が異なり、皮脂分泌やマラセチア菌による頭皮の炎症が根本の原因でした。
シャンプーしても皮脂がベタベタとしてかゆみやフケ・抜け毛がひどいという方は、すみやかに病院に行き治療を受けてください。
そして、皮脂がベタベタするからといって強力なシャンプーを使ったり間違った対処は余計に症状を悪化させる要因です。
さらに、間違った生活を続けていると、せっかく治療してもまた再発してしまいます。
脂漏性皮膚炎がまだ軽症の方は、生活習慣を整えて正しいシャンプーを選ぶだけで症状が改善することもあります。それほどに、日々の習慣は脂漏性皮膚炎と抜け毛に影響を及ぼしているのです。
とにもかくにも頭皮環境を正常に保つことが、脂漏性皮膚炎と抜け毛を治していく最善の方法です。
誰にでもできる簡単な対処法ばかりですので、今日からすぐ、できることから始めてみてください。
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